就労選択支援導入に向けた就労アセスメントワーキングチームの活動

「新ノーマライゼーション」2025年9月号

社会福祉法人桑友 理事長
青山貴彦(あおやまたかひこ)

はじめに

島根県松江市では、就労選択支援の導入を見据えて、2021年度から「協議会を軸にした仕組みづくり」の試行錯誤を重ねてきました。ここでは、2023年度に国のモデル事業の1つとして取り組み始めた、「就労アセスメントワーキングチーム(以下、「ワーキング」という)」の活動をご紹介します。

1. ワーキングの概要

ワーキングは、松江市社会福祉審議会内にある「障がい者福祉専門分科会(協議会)」の「就労支援検討チーム(就労支援部会)」の下部組織として結成しました。アセスメント力の向上とその普及を図ることや、就労アセスメントをとおして障害のある方が自己理解を深め、自らの持つ力を発揮して、適職とのマッチングへと導くことができるようなノウハウのシステム化を目指したものです。

実施主体は市と障害者就業・生活支援センターで、運営事務局に基幹相談支援センター、構成員には相談支援事業所、就労系障害福祉サービス事業所、精神科クリニック、地域障害者職業センター、ハローワーク、中小企業家同友会など、さまざまな機関が幅広く参画しています。月に1回の定例会を行い、「モデルケースの協働」「仕組みづくりの議論」を展開しました。

2. モデルケースの協働

職業的なアセスメントを、事業所・機関の枠を超えてワーキング全体で協働して行うという試行的な取り組みです。共通ツールとして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の「就労支援のためのアセスメントシート」を活用。経験を積み重ね、各プロセスの手法や多機関連携の方法等のノウハウを集約することを目的としました。

具体的には、ワーキングの構成員からあがった3ケース(就労移行支援利用中、障害者就業・生活支援センター登録者、就労継続支援B型利用中)について、役割分担、作業場面の選定、実働、ケース検討、意見交換、結果のとりまとめなど、すべてに協働して取り組みました。基幹相談支援センターや地域障害者職業センターの方たちを中心に、助言していただいたり、一緒に動いていただいたりしたおかげで、アセスメントが深まっていくことを体感しました。アセスメント力、支援の質の向上につながる活動であるとの手ごたえを感じています。

3. 仕組みづくりの議論

就労選択支援に関する情報共有、勉強会のほか、現行の就労アセスメントの事例を通した運用面の共通認識づくりや改善策の検討など、さまざまな意見交換を行いました。ワーキングの取り組みが協議会の6つの機能(情報・調整・開発・教育・権利擁護・評価)に合致していることを確認し、地域づくりに繋がる可能性を見い出しています。就労選択支援開始後の協議会のあり方や、「中立性・質の確保」に向けた活動内容、具体的な連携イメージをもつことができました。

2024年度以降もワーキングの活動を継続しています。各種研修会や意見交換、ケース報告、地域全体の状況把握、グループによる個別課題の検討などに取り組んできました。ワーキングの活動をとおして、地域のなかで就労選択支援に関する認識が共有されつつあり、熱量が高まってきた実感があります。

おわりに

就労選択支援は、非常に高い力量が求められる、大変難しいサービスです。一事業所の努力だけでは限界があるのではないかと感じています。有効に機能させるためには、地域の協議会を活性化し、中立性・質の確保を実現する仕組みをつくっていく必要があります。松江市では、引き続きワーキングの取り組みを継続・発展させていきます。協議会として就労選択支援事業所と連携し、アシスト・サポートしながら、有効に機能させるための活動を行っていきたいと思います。