就労支援の新たな仕組みと可能性~モデル事業を実施して

「新ノーマライゼーション」2025年9月号

社会福祉法人舟伏 顧問
森敏幸(もりとしゆき)

岐阜県ではモデル事業を全県的な取り組みとして実施した。岐阜県は岐阜、西濃、中濃、東濃、飛騨の5つの福祉圏域があり、各圏域に障害者就業・生活支援センター(以下、「なかぽつ」)が1か所ずつ配置されており、岐阜圏域のみ平成28年から2か所の配置となっている。モデル事業を取り組むにあたって、なかぽつの連絡協議会でモデル事業の取り組みについて話し合い、その結果、岐阜圏域で3か所、中濃で2か所、飛騨で1か所の合計6か所の事業所がモデル事業を取り組むこととなった。

なかぽつは障害者の就労支援に関して地域の中核的な役割を担うことが期待されている。モデル事業を実施することはこの役割を担う機会であるとともに、各なかぽつが関係自治体や関係機関と連携し、この新しい制度を地域の中でどう取り組むべきか、また、運営組織が就労選択支援事業の担い手となり得るのかなどの判断ができる機会でもあると考えた。

モデル事業として実施した対象ケースは、1事業所2ケースを目途に実施し、11ケースで取り組むことができた(表参照)。モデル事業であったためか、比較的多様なケースを対象とすることができ、また、関係者の協力も比較的スムーズに得られた。


表拡大図・テキスト

事業の振り返りでは、モデル事業に取り組むことで就労選択支援事業とはどういうものかイメージができて良かったとの意見とともに多くの意見が出された。ここでは事業を実際に進める上で参考となるのではないかと思われる意見を以下に紹介したい。

  • 選択支援事業は、地域の中で中立的な立場で事業を進めることが大切であり一般の障害福祉サービス事業と同様の指定の在り方ではないほうがいいのではないか。自立支援協議会などで中立性に関しチェックできるようにしたほうがいいのではないか。
  • 本人の働きたいというモチベーションを大切にするには、選択支援事業を受ける支給決定が短期間に行われる必要があるが、各自治体ではそれが可能だろうか。
  • 選択支援事業の入り口から出口まで相談支援専門員の役割が重要となり、密接な連携が欠かせないが、相談支援専門員の現状の多忙さを考えるとそれが可能だろうか。
  • 特別支援学校のケースが一定程度対象者として考えられるが、学校との連携がスムーズに進められるか(時期が集中しないか、アセスメントの協力が得られるかなど)。
  • 多機関連携によるケース会議はモデル事業だったので比較的協力が得られたが、同じように協力が得られるか。
  • 1か月という短い支給決定期間内で関係者の協力を得て行うケース会議の日程調整が可能だろうか。オンラインなどの活用が欠かせないと思われる。
  • アセスメントツールは、高齢・障害・求職者雇用支援機構のアセスメントシートだけでよいか。障害に応じたアセスメントツールが必要ではないか。地域の中で各事業所共通のツールが必要ではないか。