地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-災害福祉支援センターの必要性

「新ノーマライゼーション」2025年10月号

社会福祉法人全国社会福祉協議会総務部全国災害福祉支援センター

近年、地震や豪雨、台風等の災害が全国各地で頻発・激甚化し、社会全体の災害対応力を強化することが急務となっている。今年6月に災害対策基本法等の改正が行われ、国による災害対応力の強化、インフラ復旧・復興の迅速化と並び、被災者支援の充実として、「福祉サービスの提供」や行政とボランティア団体等との連携強化が法定化された。これにより、災害時における高齢者や障害者、子どもなど要配慮者への支援、福祉的課題への対応や生活再建支援に対する国民の期待が高まっている。

これまで福祉分野における災害対応では、平時の業務を抱えながら避難所における支援や生活支援に取り組んできたが、活動は断片的で連携不足が目立った。同じ被災者に複数の支援者が重複して調査を行い、被災者に負担をかける場面も少なくなかった。こうした課題を踏まえ、本会は平時・災害時を通じて支援を包括的かつ効果的に調整する都道府県域、全国域の「災害福祉支援センター」(以下、センター)の設置を提唱している。

センターは都道府県社会福祉協議会に設置し、市町村社協の災害ボランティアセンターや、都道府県域で活動する災害派遣福祉チーム(DWAT)の運営を支援する。また、災害ケースマネジメントや地域支え合いセンターの推進なども担い、災害対応を一体的に調整する役割を果たす。すでに12県で設置が進み、今後さらに拡大が見込まれるほか、広域的な連携、調整を行う全国センターを本会が今年10月に設立し、活動を開始した。

都道府県社協における災害福祉支援センター設置状況等拡大図・テキスト

特に南海トラフ地震や首都直下地震のような広域大規模災害では、従来の枠組みだけでは到底対応しきれない。専門部門と人材を平時から配置し、発災後に迅速かつ組織的な対応を可能にすることが重要である。さらに、行政やNPO、医療機関など多様な主体と平時からネットワークを形成し、発災時には役割分担と情報共有を一元的に調整する仕組みが不可欠となる。

また、センターはDWATと災害VCを結ぶハブとしての役割を担う。DWATは専門的な福祉支援に優れるが地域基盤に乏しく、災害VCは地域に根ざして信頼を得ているものの、専門性の高い福祉支援には限界がある。両者をつなぐことで、避難所や在宅避難者のニーズを効率的に把握し、重複や漏れのない支援につなげられる。

例えば、障害のあるお子さんをもつ母親が避難所で他の避難者に気兼ねして、いづらくなることがある。自宅に帰りたくとも自宅の片付けをしようにも子どもが不安定になりその子を置いて帰れない、といった場合、避難所でDWATが相談に乗り、避難所からより適切な福祉避難所等へ移送を行う。同時に災害ボランティアセンターと連携し、浸水被害にあった自宅の家財や畳などの洗浄、乾燥、消毒をボランティアが行い、自宅に戻る環境を整える。この連携により迅速に問題解決につながることが考えられる。

センターは、被災者一人ひとりに寄り添った切れ目のない支援を目指し、被災地への支援をより効果的かつ質の高いものとすることを目的に設置するものである。

本会では、災害が常態化する時代においてセンターを「災害福祉支援の中核拠点」として位置づけ、全国的な整備と人材育成を進め、強靱な災害福祉支援体制を構築することが、社会にとって必要であるとして取り組んでいる。皆さま方のご理解、ご協力をぜひ賜りたくお願い申し上げます。