地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-きんちゃい みまさかれっじ―オープンカレッジの取り組み

「新ノーマライゼーション」2026年1月号

美作大学生活科学部社会福祉学科
薬師寺明子(やくしじあきこ)

知的障害のある成人の方に大学で学んでもらうオープンカレッジ「きんちゃい みまさかれっじ」を学生主体となって実践し11年目になりました。

美作大学は岡山県北部の津山市にあります。社会福祉学科では社会福祉士を養成しており、26年目になります。この活動は12年前、薬師寺ゼミ3年生が「オープンカレッジをやってみたい」ということから準備を始め、その学生たちが4年生になった2015年から「きんちゃい みまさかれっじ」として始まりました。薬師寺ゼミでは活動や実践を通して障害者福祉を学ぶことをテーマに学習や研究を行っています。この活動も学生の「やってみたい」から始まり、後輩に引き継がれています。ちなみに「~ちゃい」は津山市や作州エリアの方言で、「きんちゃい」は「いらっしゃい」とか「おいで」という意味になります。学生の間では略して「みまかれ」と呼ばれています。

みまかれはその後もゼミの学生が代々主体となって、企画・運営を行っています。知的に障害のある人の教育を受ける権利の保障や社会参加、大学の地域貢献というオープンカレッジの理念に基づき、取り組んでいます。2014年、活動を始める際には先駆的に取り組んでいる島根大学の「知的に障がいのある人のオープンカレッジin松江」の実行委員の学生さん方から学びを得ました。当初は1年間で4日間開講していましたが、試行錯誤の結果、現在では1年に2日間、4講座を実施しています(島大の学生さんとは今でも交流を続けています)。

企画や運営は3年生のゼミ生を迎えた頃から講座内容を検討します。受講生の方が理解しやすく、楽しんで学んでもらえるものを考えます。ここが一番の難関です。ゼミ生がたくさんの案を出し、内容や講師を検討します。受講生の方々に響くものを考えるのがとても難しいところです。これまで多くの地域のみなさんが講師となってご協力をいただいています。また、美作大学の教職員の方々にも講師となっていただくこともあります。数えてみると今まで48講座を開講し、28講座は地域のみなさんが講師となっていただいたものになります。少しだけ紹介すると、午前に和菓子で練り切りに挑戦して、午後から茶道を学んだり、歯科衛生士から直接口腔ケアを、気象予報士のキャスターから気象学や天気予報の放送原稿を読んで体験することもありました。また、企業の研究員から発酵について体験的に学んだり、銀行の方から金融学を学んだりと地域で活躍されている方に講師となっていただけることは大変有意義です。

ゼミのみまかれリーダーをしてくれている4年生の松本晴登さんと3年生の本田翼さんのコメントです。「きんちゃい みまさかれっじは学習の機会の少ない方々に大学に来ていただき、学習の機会の一助となることを目的として活動しています。企画や運営、準備の過程は大変ですが、共に学ぶことはとても楽しいです。最近は受講生が少ないので、ぜひ、多くのみなさんに受講していただきたいです」

表 今まで開講した講座

2015年度前期:1日目 全体講義「文化人類学」・選択科目「英会話」「音楽」
   2日目 全体講義「料理」交流会
後期:1日目 「工作」「悪徳商法対策講座~あきらめない~」
   2日目 「科学実験」交流会
2016年度前期:1日目 「パソコン」「マナー講座」
   2日目 「栄養学」「護身術」交流会
後期:1日目 「和菓子作り」「茶道」
   2日目 「災害学習(消防署見学)」交流会
2017年度前期:「ストレッチ」「口腔ケア」振り返り
後期:「フラダンス」「経済学」振り返り
2018年度前期:「防災学」「工作」振り返り
後期:「歴史学(津山)」「ボッチャ」振り返り
2019年度前期:「保健学」「声楽」振り返り
後期:「調理実習」「栄養学」振り返り
2020年度前期:「心理学」「コミュニケーション学(手話)」振り返り
後期:「食品学」「美作大学図書館利用ガイダンス」振り返り
2021年度前期:「公衆衛生学」「家政学(被服)」振り返り
後期:「気象学」「防災学」振り返り
2022年度前期:「SDGs」「防犯学」振り返り
後期:「パラスポーツ学」「パラスポーツ実技」振り返り
2023年度前期:講師感染症にて中止
後期:「発酵学(講義)」「発酵学(実験)」振り返り
2024年度前期:「川柳入門」「ボディメンテナンス」振り返り
後期:「介護学」「介護演習」振り返り
2025年度前期:「金融学」「考古学」振り返り
後期:「乳児保育学」「生活工学」振り返り