「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)2025韓国会議」報告

日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長
日本障害フォーラム(JDF)国際委員
村上 博行

概要

2025年10月29日から31日までの3日間、韓国・ウルサンにて「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)2025韓国会議」※が開催されました。本会議は、APDF事務局を担う韓国リハビリテーション協会が実施事務局を担当し、韓国「グローバルITチャレンジ・フォー・ユース・ウィズ・ディザビリティーズ」事業との共催により実施されました。日本障害フォーラム(JDF)※※はAPDFの日本加盟団体として、著者が代表参加いたしました。 参加者は約160名、51団体、15の国・地域からの参加がありました。障害当事者は、視覚・聴覚・肢体の各分野から約10名ずつ、計約30名が参加しました。なお、同時期にAPECサミット2025が開催されており、米国のトランプ大統領らが来韓していたため、空港の警備は非常に厳重でした。

APDF役員会および総会

初日午前には、加盟団体による役員会および総会が開催されました。役員会では、新議長としてMr. PT Lim(シンガポール)が選任され、日本からは情報委員会の副委員長として著者の村上が選任されました。

大会のテーマ

本大会のテーマは「能力の再定義 ― インクルーシブで自立した生活へのビジョンに向けて」、会議テーマは「障壁を打破し、未来を築く:障害のある人々のための包摂的でアクセシブルなアジア太平洋地域へ」でした。

開会式

開会式では、長年にわたり事務局運営を支えてこられた松井亮輔氏(日本障害者リハビリテーション協会前会長・法政大学名誉教授)、上野悦子氏(同協会元国際部長)に対し、感謝状の贈呈が行われました。

セッション

セッションでは、以下のようなテーマが取り上げられました。

  • 「ジャカルタ宣言の実施における課題と機会」
  • 「デジタル・インクルージョン、デジタル・アクセシビリティ、およびデジタル雇用」
  • 「障害を含む持続可能な開発のための長期戦略の推進」他

閉会式

閉会式では「APDFウルサン宣言2025」※※※が採択されました。開催議長を務めたジョセフ博士(香港)は、会議後に奥様と共に来日され、2025年11月12日に東京・新宿区で開催されたAPDF報告会にご参加いただきました。

なお、抄録集(原本)は年度内に発行され、日本障害者リハビリテーション協会のホームページに掲載予定です。ご関心のある方はぜひご覧ください。

※アジア太平洋障害フォーラム(Asia Pacific Disability Forum, APDF)とは、アジア太平洋地域の障害者団体が連携し、障害者の権利推進を目的とする国際的ネットワーク組織です。2003年11月、シンガポールで開催された設立会議にて正式発足。 

大会オフィシャルサイト:(https://apdfconference.org/)

※※日本障害フォーラム(JDF)とは、障害者の権利を推進するために2004年に設立された、全国規模の障害者団体・支援団体によるネットワーク組織です。事務局は日本障害者リハビリテーション協会が担っています。

※※※「APDFウルサン宣言2025」:(https://apdfconference.org/?cat=117)

APDF総会の様子。スクリーンに新役員名簿が投影され、各国の代表がテーブルを囲んで会議を行っている
(写真1)総会
ベトナムの情報委員長(左)と、情報委員会副委員長に選任された村上博行氏(右)の記念撮影
(写真2)左・情報委員長(ベトナム)右・副委員長 村上
「APDF Conference 2025」および「2025 APEC」と書かれた会場入口の看板の前に立つ村上氏
(写真3)会議場前
会議場ロビーの様子。車いすユーザー等の参加者が行き交う中、自律走行する案内ロボットが稼働している
(写真4)会議場前