[厚労省]育成医療受給者の実態の把握及び支援に関する有識者会議開催

令和6(2024)年5月9日、厚生労働省は、第1回「育成医療受給者の実態の把握及び支援に関する有識者会議」を開催しました。

育成医療は、障害者総合支援法の自立支援医療の1つで、身体障害児の医療を担っています。また、同じく自立支援医療の1つである更生医療は身体障害者の医療を担っています。

育成医療の対象は、18歳未満の身体障害児で障害に係る医療を行わなければ将来において身体障害者福祉法別表に掲げる障害と同程度の障害を残すと認められ、手術等により確実な治療の効果が期待できる者とされています。

更生医療の対象は、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で、その障害の状態を軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)とされています。

自己負担額は両者とも原則総医療費の1割ですが、世帯の所得額等によって月額自己負担上限額が定められています。低所得世帯の場合は軽減されますが、一定の所得以上の場合は、全額自己負担となり、医療保険の自己負担額全額を支払います。

更生医療と育成医療の対象医療は同じではなく、更生医療の場合は、身体障害者福祉法に定められた障害にかかわる疾病に限られています。例えば、人工内耳埋込術(聴覚障害)、人工関節置換術(肢体不自由)、ペースメーカー埋め込み術(心臓機能障害)、人工透析(腎臓機能障害)などです。

一方、育成医療の対象医療は更生医療よりも広く、鎖肛による人工肛門の造設などが含まれます。

両医療に共通する疾患も多いですが、今回、問題となっているのは、育成医療受給者で18歳以降も引き続き治療を要する人の中に更生医療を受給できない人がいるということです。特に、口唇口蓋裂に関する問題が取り上げられています。

口唇口蓋裂は、育成医療も更生医療も対象になっていますが、18歳以降も引き続き治療が必要なケースの場合、18歳以降に更生医療を利用するには、音声機能・言語機能・そしゃく機能の障害の身体障害者手帳を取得する必要があります。

しかし、すでに、かなり治療が進んでいたりして、この認定基準に該当しない場合があり、この場合、更生医療では、口唇口蓋裂の治療を受けられないということになります。

このような課題を解決するために、18歳以上の患者についても育成医療を受給できるよう制度改正して欲しいという要望があり、2023年6月20日には、与党による「口唇口蓋裂議員連盟」が設立されています。

本会議では、育成医療受給者の実態について把握するとともに、課題への対応方策を議論します。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_442921_00008.htm

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