去る1月下旬に越後湯沢でスキーを体験しました。3名は雪を見るのも初めて。越後湯沢駅ホームから望む雪景色に言葉を失い、寒さも忘れて見とれていました。
スキーは、研修生の障害特性に合わせて、キャスト(インストラクター)が指導してくれます。ろう者には、一般的なスキースタイルを取りながら、キャストが身振りや筆談でコツを教えます。視覚障害のある研修生には、キャストが音で指示や方向を知らせます。四肢障害のある人には、座席にスキー板が固定された、バイスキーという補助器具を用います。
毎年お世話になっている「障がい者スキースクール・ネージュ」では、「Yes, you can do it. 誰でも雪は楽しめる」を主眼にし、スキーの醍醐味とは、障害の有無に関わらず、皆が同じゲレンデに立ち、一緒に斜面を滑走できることとしています。研修生の中には、「私にスキーができるわけがない」と考える者も少なくありません。しかし、適切な補助具を用いたり、工夫を施したりさえすれば、スキーは「誰にでも楽しめる」のです。このように、スキー研修は、レクリエーションという位置づけではありますが、研修生に大切なメッセージを伝えるためのイベントでもあります。
スキーで身体がすっかり冷え切ってしまった研修生に待ち受ける新たな挑戦が「温泉」です。温泉が湧いている国は日本以外にもありますが、水着などを着用して入浴するのが主流です。「知らない人と裸で一緒にお風呂に入るなんて!」と、研修生は抵抗感を隠せません。しかし、私たちが「これが日本文化なんだよね」というキラーワードを口にした途端、彼らの好奇心は騒ぎ出します。こうして、今年も2名の研修生が温泉を十分に堪能しました! 一生モノの雪の思い出と日本の温泉文化を体感したあっという間の3日間でした。(N)