快適生活・暮らしのヒント-関節リウマチ患者の生活の工夫

「新ノーマライゼーション」2024年9月号

見増桃子(みますももこ)
日本リウマチ友の会会員

私は、43歳の時に関節リウマチを発症しました。病歴は30年以上になります。発症した時は指の関節が腫れたので整形外科を受診しましたが、病名はすぐには分かりませんでした。半年ほど経ち、週一度診察される若い外科の先生が関節リウマチを疑っていろいろ検査をしてくださいました。やっと病名が分かり、お薬が処方されて2~3日で痛みと炎症が治まり、その時はルンルンでした。まさかこれほど大変な病気とは思いませんでした。その後約10年ごとに薬剤が効かなくなり、別の薬に変えて、痛みと関節の不自由はありましたが、仕事も家事も何とかこなしていました。症状がほとんど治まっていたので安心していましたが、その間にも関節の破壊は進んでいたようです。

今は手指・足趾(そくし)に変形があり、手首・足首は関節の骨が溶けて固まっています。右手首は腱が切れたので、腱再建術と滑膜切除術を受け、尺骨(しゃっこつ)を切断して橈骨(とうこつ)1本しか残っていないため、重いものを持つことができません。そのため、さまざまなタイプのキャリーバッグを使っています。買い物用、旅行用、書類が入りやすい横長のもの等です。また、日々の生活のちょっとした動作のために自助具を使っています。ペットボトルオープナーや刃が鋭く底にゴムがついていてすべらないおろし器、柔らかい洗濯ばさみ等です。

足趾の変形のため、靴はシューフィッターさんがいる靴店で幅広い靴を選び、変形に合わせて親指の部分を広げ、中敷きを作成してもらっています。足首が固まっているので凸凹の道は苦手です。平らな場所を選んで歩いています。

外出には公共交通機関を使います。重いキャリーバッグを下げて駅の階段を上り下りすることはできないので、エレベーターやエスカレーターを使っています。よく使う駅はエレベーターやエスカレーターがどこにあるかは覚えていますが、どちらも設置していない駅があります。そんな時は本当に困ります。どちらかでよいので設置していただきたいと思います。

工夫の最も大きなことは住居選びでした。十数年前、夫の定年で社宅を出なければならなかった時に、バリアフリーのマンションを選びました。近々高齢者になるリウマチ患者にとっては、狭くても駅とスーパーマーケットとクリニックが近くにあるので、大変便利です。この家でいろいろ工夫し、できるだけ長く身の回りのことを自分でして過ごしたいと思っています。

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