池上輝(いけがみひかる)
NPO法人自立支援センターおおいた
はじめまして。池上輝(ひかる)といいます。年齢は35歳で、車椅子生活になって約20年が経ちました。
私は、熊本県出身で、現在は大分県別府市に住んでおり、自立生活を送りながらNPO法人自立支援センターおおいたでスタッフとして活動しています。
私が受傷したのは13歳の頃です。柔道の練習中に相手を担いで投げた際に畳に頭から突っ込んで首の骨を脱臼しました。脱臼した骨が神経を押し潰し、そのまま意識を失い、意識を取り戻した時には体に力が入らず、病院に運ばれました。結果、肩から下が完全四肢麻痺になり、体を自分で動かすことができません。体幹筋力がないためコルセットを着用して車椅子で生活しています。
日々の生活では、重度訪問介護を利用して介助者に身の回りのことをサポートしてもらっています。24時間介助者がついているおかげで、生活上の大きな工夫は行ってないのですが、時には1人の時間がほしくなることもあります。そんな時に役立っているのが、携帯立てとスティックを使っての携帯操作です。
まず1つ目の工夫は、車椅子上で自分で携帯を触れるようにするために、机の上に車用の携帯ホルダーを固定し、携帯を操作できるようにしています。机の高さを顔の位置まで調整し、自分のタイミングでスティックをくわえたり外したりできるようにしています(写真1)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。
2つ目の工夫は、携帯操作用のスティックを自作したことです。既存のタッチペンでは長さが足りず、自分で携帯を操作するのが難しかったので、インターネットで調べて自分に合ったスティックを作りました。導電性のあるカーボン棒を使い、口にくわえる部分には60度程度のお湯で柔らかくなる手びねりプラスチックを利用して形を調整します。そして、タッチペンの先端をカットし、カーボン棒にはめ込むことで、操作しやすい自作のスマホ用スティックが完成しました(写真2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。
3つ目の工夫は、ベッド上でも1人で携帯を操作できるように、スマホアームスタンドを使うことです。使用するたびに体の調整やアームスタンドの微調整、机の位置取りが必要ですが、携帯がしっかりと固定されているので、個人的にはとても使いやすいです。また、スティックをずっとくわえたままだと辛いため、お腹に枕やクッションを置いて高さを調整してスティックを外したりくわえたりできるようにしています(写真3)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。
このように、私自身の生活に合った既存の商品や身の回りにあるものを使い、暮らしの工夫をしています。障害の状態によって必要なものは異なりますが、自分の生活の快適さをどこに求めるかでさまざまな工夫をすることができると思います。ちょっと工夫するだけでも生活の快適さは大きく変わります。