研修したことを現場でどう生かすか

「新ノーマライゼーション」2025年7月号

社会福祉法人南高愛隣会サービス推進課
冨田千晶(とみたちあき)

私は、長崎県の社会福祉法人南高愛隣会で作業療法士として働いています。業務内容は、生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービスを兼務しており、専門職として利用者さんへの支援を行っています。令和6年度の中核的人材養成研修を受講し、今年度からは、中核的人材として共同生活援助への介入も増え、新たな分野にもチャレンジしています。

研修で学んだことを事業所でどう生かしていったか

研修の協力者は生活介護の利用者Aさんにお願いし、支援員4名のチームで取り組みました。Aさんは、てんかんもあり季節の変わり目に不調になりやすい傾向がありました。研修が始まる前の6月頃も不調が続き、来所時や午前の活動中、昼の余暇時間に、泣く・壁を蹴り破る・支援員につかみかかる・失禁する行動が毎日のように見られていました。研修では、ターゲット行動は“泣き声を出す”に決めて支援を考えていきました。

研修が始まったばかりの頃は、Aさんの特性や環境を整理し、支援をうまく組み立てられるか、支援員とどう連携していけばよいか不安が強かったですが、毎回次までに取り組む課題が明確に示されていたため、動画の視聴や行動記録等やるべきことに集中して取り組むことができました。

事業所で課題に取り組む際は、私が常勤勤務でないため、1名の支援員にリーダー兼私とのやりとりの窓口になってもらい、リーダーから他支援員に共有してもらうようチームづくりをしました。伝達する内容は、トレーナーやサブ・トレーナーからいただいたたくさんのアドバイスに優先順位をつけ、1つずつリーダーに共有しながら支援を進めました。リーダーをはじめ、支援員とのやりとりで意識したことは、支援員が前向きに取り組めるような雰囲気づくりをすることです。そのため、Aさんのスケジュールを上から下のタイプから、1つずつめくるタイプにシステムを大きく変える時は、事前にロールプレイで支援方法を確認し、時間を調整して私も支援場面に立ち会うことで、支援員が安心して取り組めるよう工夫しました。

研修で学んだことをすぐに実践しながらPDCAを繰り返す中で、Aさんの特性と環境が整っていき、研修の後半にはターゲット行動だけでなく破壊行為や他傷行為、失禁もほとんど見られなくなりました。

研修で印象に残っていること

「Aさん、今日カードで鏡を要求してくれました!」「スケジュールの絵カードは取れるようになったんですけど、トランジションカードは取れないです。どうしたらいいですか?」「Bさんにもウォーキング活動の時、(見通しを伝えるために)歩行カードがあったほうがいいですかね?」等、研修が進むにつれ、支援員からも積極的に支援状況について発信がありました。印象的だったのは、Aさんへの支援の経験を生かし、他の利用者さんへの支援のアイデアもどんどん出るようになっていたことです。1つの歯車が回り出すと、事業所全体も回り出していくことを経験することができました。

学んだことを今後どう生かしていきたいか

中核的人材養成研修への参加は、私にとってターニングポイントになったと感じます。通常業務に加え、ボリュームのある研修課題に取り組むことは大変さもありましたが、1事例についてターゲット行動を決め、アセスメント(ICFシート、日常生活場面行動アセスメント、自閉症の特性&学習スタイルチェックシート、行動記録等)を取り、支援の立案と実践、支援の効果を確認するPDCAサイクルを回すプロセスをチームで経験することができました。

今回、事例を通した学びは支援員にも伝わりやすいことを実感しました。私は法人において、児童と成人の事業所を複数兼務しているため、標準的な支援を他事業所でも実践できるよう、各事業所の利用者さんを通して伝達していきたいと思います。