中核的人材研修、黎明と責任と

「新ノーマライゼーション」2025年7月号

社会福祉法人新潟太陽福祉会 自閉症総合支援センターたいよう
大澤紀樹(おおさわのりき)

私は太陽の村という入所施設に勤務していると同時に、自閉症総合支援センターたいようで、強度行動障がい支援マネジャー兼発達障害地域支援マネジャーとして、地域で強度行動障害支援のコンサルティング業務などを行っています。

このたび、令和6年度中核的人材養成研修(以下、本研修)をサブ・トレーナーとして受講させていただきました。

本研修の流れとしては、各々事例を取り上げ、チームでアセスメントを共有し、支援の骨組みたる戦略をともに組み立て、環境の問題点を改善していく、その標準的な支援と呼ばれる支援の在り方とプロセスをトレーナー、サブ・トレーナーが助言、フォローしていくというものでした。

基礎的な研修である「強度行動障害支援者養成研修」ですでに学んできたことの理解の深度の確認を行い、日々繰り返してきた実践でのプロセスを本研修の中で実際の事例に当てはめ取り組みながら、根拠のある支援の戦略をチームにどう伝え、どう共有しているのか、チームの、あるいは事業所の中核を担う職員であるために、標準的な支援とそのプロセスをツールとして使いこなし、チームの適切な管制と把握を行っているのかが問われる研修、判定される研修と感じました。

そして、この「問われる」「判定」という点に、将来的な展開の難易度の高さを感じたのは私だけではないでしょう。

というのも、本研修には合否があり、中核的人材となるには一定の水準をクリアしなければならないとされています。今後、各都道府県での実施として全国で行われる際に、果たして水準を担保した研修の質を守れるのか、また、合否に対して厳然とした結果を維持することができるのかなどの不安が頭を過ぎりました。

本研修の受講者、サブトレ、トレーナーなどさまざまな方のお話を聞けば、全国各地方地域でさまざまな特色や文化、事業所ごとの売りや誇りがあることを感じ、地域事情、周辺の社会資源の分布も異なる中で、歩みの速さも歩幅も全国一律ではないとも気づかされます。

つまり、より広い範囲での研修の実施となった時『強行研での学びを創意工夫し現場で使い磨き上げ、事業所を引っ張ってきた支援者』と、『合理的配慮も標準的支援も学んだが、継続的に回せないまま放置したりしているかもしれない支援者』が並んで研修を受けることになることが想定できます。

そうなった時、研修の提供側は後者のような支援者を引き上げるフォローが必要であり、適切に合格水準に達するリードを取りつつ、研修後も継続可能な自立性を育むことを前提とした研修形態が必要になるでしょう。

また、合格レベルに達しない場合、事業所の代表として受講する人物に対し、そのことを告げなければならないですし、ある時は特殊な条件付けで合格とするような条件付けの判断、決断をすることも必要になるかもしれません。どのような研修も運営には重責が伴います。そこへ判定といった責任が加わる研修の黎明への不安を感じながら、本研修そのものを今後にどう活かしていくかといえば、後継者の育成でしょう。

このたび受けさせていただいた本研修は、先に「管制と把握を行っているのかが問われる研修」と書いたとおり施設の中核を担う職員をつくり出す研修ではなく、各事業所で中核を担う者が中核的人材だと認められるための研修だと感じています。

自身の事業所の中核となる者はまず自分で育てなければならないはずです。

根拠に基づきながらも主体性のある判断と目標設定を行える。そんな人材の選定、育成の環境をつくり上げていくため、現状でとどまらず法人内の研修体系や環境の見直しをしていく必要があるでしょう。それもまた中核的人材の担うべき責務の一つと考えています。