快適生活・暮らしのヒント-私らしい工夫で選ぶ、心地よい毎日

「新ノーマライゼーション」2025年7月号

海老根和美(えびねかずみ)
NPO法人ハイヒール・フラミンゴ 副代表

義足での生活を始めて約20年。子どもが1人暮らしを始めたのをきっかけにキッチンの収納をプロに見直してもらいました。キッチンの下の引き出しや、高い吊戸棚には背の高い夫が使う食器やインスタント食品を収納したり、使う物を収納する場所を整理収納のプロに決めてもらいました。使わない食器や保存容器などを手放し、食器はお気に入りの物を2セットずつだけにしました。立った姿勢で手を伸ばした状態で片付けやすい場所に食器や調理器具を収納する場所を作りました。おかげで食後の片付けが楽になりました。

それから、しゃがむことができないのでマジックハンドを使っています。しっかりつかめるマジックハンドを購入して、落ちている物を拾うだけでなく拭き掃除等もしています。折りたたむことができるので持ち運びに便利です。

私は外に出かける時は杖をついているのですが、初めは「不自由な自分」を強調するようで持つのが嫌でした。もっと私らしく、服装にも合わせやすいおしゃれな杖を持ちたいと思いました。

そこで杖をデコレーションすることにしました。まずは、どんな服装にも合わせやすいシンプルな「黒い無地の杖」を選びました。黒い無地なら飾り付けも映えると考えたからです。デコレーションには、100均で見つけたビーズシールを貼ったり、アンブレラマーカーをつけて好きなアクリルキーホルダーやチャームを気軽につけ変えられるようにしています。街中で「杖もデコレーションできるんですね、初めて見ました!」と声をかけられた時は、とても嬉しかったです。この小さな工夫が、杖を持つことへの抵抗感を大きく変えてくれました。

靴を買いに行く時は、デパートの靴売り場にお客さんが少ない時間帯に行きます。義足側の靴の脱ぎ履きに時間がかかったり、何度も試着を繰り返すため、時間が必要です。人目を気にせず、落ち着いてじっくりと、そして専門家の方に心ゆくまで相談できる環境だからです。

最初は、自分の足や義足の状況を詳しく話すことに少し抵抗もありましたが、義足特有の歩行の癖や足の形状、そして私の「こんな靴が履けたら嬉しい」という希望を聞いて、これまで自分では決して手に取らなかったデザイン、例えば、程よいヒールがありながらも安定感があり、脱ぎ履きも楽なパンプスなど驚くほど多くの種類の靴を試着させてくれました。その中には、「これ、私が履けるの?」「こんなデザインもいけるんだ!」と半信半疑で足を入れたら、想像以上に可愛くて、オススメの靴を買いました。

キッチンの収納をプロに整理してもらったり、マジックハンドの活用など、工夫を重ねることで日々の動作が楽になりました。おしゃれな杖のデコレーションや時間をかけて選ぶ靴も、私らしいスタイルを楽しむための大切な要素です。できないことを辛く感じた時期もありましたが、「みんなと同じようにできなくても工夫をすればいいんだ」と思えるようになりました。自分に合った方法で工夫して、これからも心地よく、自分らしく毎日を送っていきたいと思っています。