国連障害者の権利条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)
解説
障害者の権利条約(日本政府公定訳:障害者の権利に関する条約)は、障害のあるすべての人による、すべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び確保すること、並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とするもので、2006年12月13日の第61回国連総会において選択議定書とともに採択された。
同条約は、今世紀はじめて採択された、国連における第7番目の人権に関する条約である。全世界で6億5千万人を超える障害者の人権の確立とその生活の質の改善にきわめて大きな影響を与える可能性がある。障害者当事者および支援団体、市民社会のメンバーが、最初の条約草案を起草した作業部会から特別委員会での最終段階の議論に至るまで、条約策定の全過程に積極的に参加し、その取りまとめに大きく寄与したことは、他の人権条約と比べての、この条約の一大特徴であり、国連史上特筆に価する。
2007年3月30日同条約は、ニューヨーク国連本部において署名に開放されたが、同日中に81カ国と欧州共同体(EC)が条約に署名し、44カ国が選択議定書にも署名をした。ジャマイカは同時に批准も行い、最初の批准国となった。日本政府は、9月28日(日本時間29日)に条約に署名した。
2008年4月3日、エクアドルが批准し、批准国20カ国に達した。 これにより30日後の5月3日、障害者の権利条約は発効した。
日本は、2013年12月4日に、締結のための国会承認を得て、2014年1月20日(現地時間)に、ニューヨークにおいて、「障害者の権利に関する条約」の批准書を国際連合事務総長に寄託した。「障害者の権利に関する条約」は、条約の規定に従い、1月20日の批准書の寄託から30日目の日である2014年2月19日に日本について効力を生ずることとなる。日本は世界で140番目(EUを含めると141番目)の批准国となった。
障害者の権利条約は、(a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択を行う自由を含む。)及び人の自立の尊重、(b) 非差別、(c)
社会への完全かつ効果的な参加及びインクルージョン、(d) 差異の尊重、並びに人間の多様性及び人間性の一部としての障害のある人の受容、(e)
機会の平等、(f) アクセシビリティ、(g) 男女の平等、(h)
障害のある子どもの発達しつつある能力の尊重、及び障害のある子どもがそのアイデンティティを保持する権利の尊重を一般原則とする。
DINFでは、第1回特別委員会からの記録を掲載している。
外部リンク
- United Nations enable : Rights and Dignity of Persons with Disabilities (国連障害者の権利条約公式ページ(英語))
http://www.un.org/disabilities/ - 障害のある人の権利に関する条約 仮訳
川島聡=長瀬修 仮訳 (2008年5月30日付)
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/
Dinfサイト内の関連ページ
- 国連障害者の権利条約
- 障害者権利条約に関連した動き
- 国連障害者の権利条約署名式・条約本文
- Convention on the Rights of Persons with Disabilities Optional Protocol to the Convention
- 障害者の権利に関する条約(日本政府公定訳) 2014年1月20日公布
- 障害者の権利に関する条約(日本政府仮訳文)
- 国連障害者の権利条約の実施に関する国際研究
ゼロ・プロジェクト報告書 2013
エグゼクティブサマリー(要旨)
-
国連障害者権利条約実施における課題と優れた実践に関する研究
「欧州委員会 雇用・社会問題・機会均等総局への最終報告書 2010」の要旨 抄訳
-
障害者権利条約モニタリング(HTML版)
-
障害者権利条約モニタリング(PDF版)
- わたしたちのできること-It's About Ability-障害者権利条約の話(HTML版) 発行:ユニセフ(2008年4月) 監訳:玉村公二彦(奈良教育大学)、翻訳・編集:(財)日本障害者リハビリテーション協会(2008年11月)
- わたしたちのできること-It's About Ability-障害者権利条約の話(PDF版) 発行:ユニセフ(2008年4月) 監訳:玉村公二彦(奈良教育大学)、翻訳・編集:(財)日本障害者リハビリテーション協会(2008年11月)
- 障害者の権利条約-その意義、条約策定過程、今後の課題
- 障害者権利条約文部科学省関連の項目についての意見書-2008年8月26日第4回政府意見交換会
- 障害者権利条約厚生労働省関連の項目についての意見書-2008年5月26日第三回政府意見交換会
- 第2回意見交換会(主に内閣府関連項目)意見書
- 障害者の権利に関する条約における日本政府署名に伴う政府仮訳に関する意見
- 「障害者の権利に関する条約」日本の署名にあたっての声明 JDF
- 第7回DPI世界会議韓国大会報告 障害者差別禁止法に関する日韓セッション
- JDF(日本障害フォーラム)意見書2007年8月9日 政府意見交換会
- 国連障害者の権利条約採択
- 2006年12月13日、国連総会が障害者の権利条約と選定議定書を採択
- WFD(世界ろう連盟)の見解:新しい人権条約、広くろう者の権利を守る
- 【声明】国連障害者権利条約の採択をむかえて 今こそ一切の強制の廃絶、隔離収容の廃絶を 全国「精神病」者集団
- 【声明】障害者の権利条約の採択にあたって JDF(日本障害フォーラム)
- 【速報】世界的障害者ネットワーク、国連障害者権利条約採択を祝賀 RI(リハビリテーションインターナショナル)
- 署名式スピーチ:国際障害同盟(IDA)、国際障害コーカス (IDC)代表ギディオン・カイノ・マンデシ氏による祝辞
- 署名式報告「82の署名-国際社会の関心の高まり」
- 障害者の権利に関する国際条約:人権分野における更なる開放を求めて
更新日:2014年2月25日